「谷田部ねぎ」ってご存じですか?
ねぎはねぎでも、全国で小浜市谷田部地区でしか生産されていない貴重な品種です。
根っこの白い部分が曲がっているのが特徴。谷田部地区の気候風土で育てられることで、やわらかくて甘みの強い味になります。
実はこの味が、他の土地では再現できないのです。
このことから谷田部ネギは、「特定農林水産物(地理的表示)」に登録されています。
谷田部でしかできない農産物ということで、平成28年に国のお墨付き(GIマーク)が与えられました。
まさに、御食国小浜ならではのブランド野菜です!
・・・と、ここまでは、ニュースや新聞でもよく取り上げられたお話です。
知っている方もいるでしょうし、知らなかった方でも「谷田部ねぎは価値があるんだな~」となんとなく感じたことでしょう。
ここからはせっかくなので、生産農家さんと直接かかわっているお店として、谷田部ねぎがもっと美味しく感じられる3つのお話をしていきたいと思います。
最後まで読めば、たぶんこれから谷田部ねぎを噛みしめるときの感覚が変わると思います。
それでは、早速どうぞ!↓↓↓
谷田部ねぎの隠れたエピソードその① 猛暑の植え替え作業
谷田部ねぎのような白ねぎは、生育途中でいったん土から抜いて植え直すという作業をおこないます。
【わざわざ植え直す理由】
- 土から抜く(根っこが切れる)ことでねぎが鍛えられてさらに伸びる
- 大きくなってきたねぎ同士の間隔が窮屈にならないように調整する
など
さて一般的な白ねぎは、この植え替え作業が1回だけですが、谷田部ねぎの場合は2回です。
しかも2回目は、照りつける日差しが身体にこたえる7月~8月!
ここ数年の夏の暑さといったら、何もしなくても辛く感じるほどです。
そんな酷暑の中、生産者さんたちは谷田部ねぎを1本1本手で抜いては土壌を整え、植え替えていきます。
汗が噴き出ようとも、暑さでダウン寸前になろうとも、全ては冬に美味しい谷田部ねぎを収穫するため!
地元伝統野菜を守ろうとする姿勢に、ただただ頭が下がります。
谷田部ねぎの隠れたエピソードその② 台風や長雨との戦い
最近は日本でも、ハリケーン並みの台風や水害が起きるようになってきました。
露地で育てられている野菜は、真っ先に影響を受けます。
谷田部ねぎも例外ではなく、丁寧に植え替えた後でも強風で飛ばされてしまったり、大雨で流されてしまったりするそうです。
せっかくここまで大きく育ってきたのに・・・!!
生産者さんたちの悔しい、やりきれない気持ちは想像すると胸が痛みます。
それでも残った谷田部ねぎを最後まできちんと育てようと、自然の力の大きさを感じながら、再び自然と向き合うのです。
谷田部ねぎの隠れたエピソードその③ 生育期間は1年以上!じっくり丁寧に育てる
谷田部ねぎは野菜の中でも生育期間が長く、収穫までに1年以上かかります。
その間、病害虫から守る対策をしたり、ねぎの伸びに合わせて土の高さを調整したりと、とにかく手をかけてあげることが大事になってきます。
特定農林水産物(地理的表示)の名に恥じず、質のいいねぎに育つよう、年間を通して気を遣う生産者さんの姿は、もはや「親」です。
実の子供のように育てられた谷田部ねぎは、煮ても焼いてもやわらかく、噛んだときにじゅわ~っと広がる甘みが丁寧に育てられてきた様子をあらわしています。
谷田部ねぎは、見た目は(ちょっと曲がった)何の変哲もない白ねぎです。
それでも生産者さんの想いや乗り越えてきた苦労、そして手間暇を想像しながら食べると、「なんてありがたいものを食べているんだ・・・!」という幸せな気持ちになるでしょう。
当店はバイキングスタイルなので好きな量だけ食べられますが、ぜひ目に見えない「野菜の作り手さんの想い」と共に、お腹いっぱいになってもらえたらな~と思います。